Global People's Assembly(GPA)宣言仮訳を公開
9月17〜18日に、ニューヨークで開催されたSDGサミットに合わせて、「Global People's Assembly(GPA)」が開催、18日付で世界が現在取り組んでいる問題に対する解決策を提示する宣言が採択されました。この宣言にはSDGsジャパンも賛同しています。SDGsジャパン事務局で宣言全文を仮訳しましたので、ぜひお読みください。
*GPAとは:貧困に対するグローバル行動要請(Global Call to Action Against Poverty: GCAP)がコーディネートし、アムネスティ・インターナショナル、CIVICUS、グリーンピース、オックスファム・インターナショナル、セーブ・ザ・チルドレンを含む64以上の団体やネットワークの支援を得て開催され、44カ国・地域レベルの市民会議や数多くの地域的行動を含む広範な団体から、対面/オンラインで2000人以上が参加しました。
【原文】GCAP Global ウェブサイト
SDGs市民社会ネットワーク仮訳
世界の人々の総会 宣言 2023
「アジェンダ2030」の達成期限まであと半分となりましたが、「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成にはまだ遠い状況にあります。2023年政治宣言草案 は、人権、ジェンダー平等・社会正義・平和、そして「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の完全実施に向けて、不平等と貧困の拡大への対応を加速するために必要な緊急行動を約束していません。私たちは、各国政府に対し、市民社会の政治的決意とその多様性に見合う政治宣言を求めます。SDGsの達成はおろか、SDGsに向けた大幅な前進も実現できないというのであれば、それは人類と地球にとって破滅的な事態を意味することになるでしょう。
40以上の国や地域で行われた、国・地域レベルの「人々の総会」(People's Assembly)と「世界の人々の総会」(Global People's Assembly)の共催者たちによって共同作成されたこの「世界の人々の総会宣言2023」は、人権を中心とし、ジェンダー課題を取り巻く状況を変革し、世代を超えた変革に取り組むための、私たちの共有された集合的なビジョンでです。コロナのパンデミックが悪化させた差別と暴力の複合的かつ交差する形態に対処するため、そして SDGsの達成に向けて、遅々とした歩みを加速させます。
1. 経済的・資金的正義
特にグローバル・ノースに存在してきた、人と地球の搾取と破壊につながる植民地支配の歴史と一部のエリート層への富の集中に根ざした、現在の消費、生産、グローバル経済のガバナンス、意思決定の仕組みを反転させます。
現存する債務の免除と再編、一時停止、金利の引き下げを行い、新規債務に対する緊縮財政の条件を盛り込むことをやめさせるために、国連の庇護の下、多国間の法的枠組みを確立します。各国政府に対し、人々と地球を傷つけた違法な債務を撤回するよう求めます。
民営化(訳注:公共の財産や制度を払い下げるなどして企業や個人の所有におくこと)は、人々よりも利益を優先させるものであり、人権を守る義務とは根本的に相容れません。ビジネスと人権に関する法的拘束力のある文書の交渉と採択、拘束力のある条約と国連の後援の下でのグローバルな租税機関の設立などによって、国連と他のすべての多国間に開かれたスペースが企業に掌握されることを拒否します。
正義、人権、賠償、再建を中心とする開発と公共政策の新たなパラダイムを構築します。開発協力の量と効果、特に政府開発援助(ODA)のGNI比0.7%目標に関する公約を実現します。
女性と少女の低賃金・無報酬労働の搾取と、ケアと家事の不平等な配分に依存する経済システムを廃止します。
2. 気候・環境正義
市場よりも人々を優先し、生態学的に持続可能な食料システムと健全な生態系を保護し、先住民の土地、領域、資源に対する権利および十分な情報を得た上での「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」を守るための、人権に基づく気候解決策を支持するため、気候危機に対する誤った解決策を廃止します。
先住民や農村部の人々、特に女性がより確かな土地の権利を持つことで、彼らは生物多様性を守り気候変動の影響への回復力を育むことができます。このことは、気候危機が深まるにつれ、ますます緊急の課題となっています。
「共通だが差異ある責任」(Common but Differenciated Responsibility)に従い、「損失と損害」を含む気候変動資金に関する誓約を増やし、実現させます。
気候変動、災害リスク削減、そしてすべての人のための健康と人権との相互関連に取り組みます。
公共サービス、適切なサービス、コミュニティが所有するサービスを通じて、十分かつ安全で、受容可能で、安価な水と衛生設備へのアクセスを確保します。
倫理的、非暴力的に、人権基準および調達基準を遵守しながら、コミュニティが所有し、民主的に管理される再生可能エネルギーのインフラと技術の公正な移行への投資を重点化します。
化石燃料不拡散条約を採択します。
3. 社会正義とジェンダー平等
カースト、職業と世系(門地)、階級、人種、民族、ジェンダー、セクシュアリティ、障害、年齢、宗教、地理、その他の疎外を含むこれらに限定されないあらゆる形態の差別と排除を撤廃します。
性自認や性表現、セクシュアリティを犯罪とする差別的な法律や政策を撤廃することにより、すべての人々、特にすべての女性、少女、多様な性の人々のセクシュアル&リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR)を含む人権を守ります。
ユニバーサル・ヘルスケアの提供、包括的なセクシュアリティ教育の提供、中絶へのアクセスを人権として認め、性と生殖に関する健康と権利を促進します。
女性差別、家父長制、年齢差別、有害なジェンダー規範と闘うためにフェミニスト団体と協力し、交差的なジェンダー差別による暴力の根本原因に取り組み、予防します。ジェンダーの偏見、固定観念、差別を取り除くために、的を絞った持続的な行動をとります。
社会的保護制度のための公的資金と資源を保証し、配分し、連帯に基づく社会保護世界基金を設立し、 不平等をなくすための公的な社会インフラを整備します。
現在の軍事化・国家化された安全保障の概念を廃止し、その代わりに人間の安全保障、身体的自律性、人権の遂行を中心とする安全保障の理解を採用します。
4. 市民社会、人権、国連
あらゆる地域の多くの国々において、市民社会スペースが縮小・閉鎖されつつある傾向を反転させ、加盟国が国際人権基準に著しく違反することの責任を追及します。
国連の場や交渉プロセスにおいて、特に歴史的に周縁化され脆弱な立場に置かれてきたコミュニティに対し、市民社会へのアクセス、リーダーシップ、 意義のある参加および意思決定を促進します。
独立し十分な資金を持つ市民社会は、私たちが尊厳と平等のうちに生きることを可能にする政策を発展させるための前提条件です。人権義務を弱めたり放棄することを促す民間部門やその他のステークホルダーから、尊厳と平等のうちに政府や国連のリーダーシップを取り戻します。
オンライン、オフラインを問わず、国家や非国家主体による、ジェンダーや人権に反する行動に反対の意思を表明します。
人権擁護に取り組む人々が国連の場やメカニズムに関与する際に生じうる報復、嫌がらせ、迫害から彼ら/彼女らを保護し、反対意見の表示、抵抗、事実の確認、平和的集会、抗議行動、啓発活動を犯罪化する法律や、司法機関を弾圧のための装置として活用するようなやり方を拒否します。
すべての人権擁護に取り組む人々、気候正義の活動家、環境の保護に取り組む人々、平和の構築に取り組む人々、ジャーナリスト、その他のフェミニストおよび社会経済的権利を守る人々の基本的権利を保護することによって、言論、表現、安全な集会の自由を明確に支持し、私たちの生活と将来に影響を与える現在と未来の世界的、地域的プロセスの成果に積極的かつ安全に影響を与えることを可能にさせます。
コメント