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パート2:分野別優先課題   パンデミック下での「行動の10年」

政府の優先課題に対応する、市民社会の優先課題

⑤ 災害の防止と被害の軽減、生活に必要なインフラの確保

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災害に対する脆弱性、人権、スフィア基準など

大切にしたい視点

重点となる政策提言 (重点政策)

ハード面の「防災」に加え、被害を最小化させるソフト面の「減災」「適応」への取り組みの推進

激甚化、また頻発化する災害について、「ハード」のみで防御しようとすると莫大な資金と時間がかかり、気候変動や新規の科学技術導入に伴う想定外の産業災害などへの対応がおろそかになります。国連の「人間の安全保障」の防災・減災アプローチの実現として、危険の未然回避、現場レベルでの防災・減災アクション、地域・自治体・企業等の連携を強力に促進する必要があります。策定が進む避難行動要支援者の個別計画については関係者で共有されることが重要です。政府が養成を進める「防災スペシャリスト」や「災害専門ボランティア」については、特に重機の扱いや避難生活支援が可能な人の養成が急務であり、単に養成で終わるのではなく、各地域で継続的な連携が担保されることが重要です。「防災・減災・復興における男女共同参画」やユースの参画を進め、仙台防災枠組に掲げられた合意の履行を加速化することが必要です。国際的な取り組みが動いている宇宙防災(小惑星衝突、太陽フレア等)への対応も検討してください。

国及び地方公共団体における防災・減災に関する審議体の構成員として障害者及びその家族が実質的に参画できる措置

東日本大震災では障害者の死亡率が被災住民全体の約2倍だったことについて国はその検証と再発防止策の検証を行っていません。国及び地方公共団体における防災及び減災に関する審議体の構成員として障害者及びその家族が参画し、人命最優先の観点から行政が保有する個人情報を有効に活用する手立てについて平時から協議し、地域防災計画に組み入れてください。安全で、適切な支援が得られる福祉避難所を増やすとともに、それに関する情報を平時から市民に提供してください。仮設住宅の基本形をバリアフリーにするための実効性のある措置を国として公示し、普及するよう措置を講じてください。防災計画策定への包摂的な参加の保障を求めます。

行政・NPO・災害ボランティア等の多様な主体の、全国あるいは都道府県規模での連携強化

避難所としての協定を自治体と結んでいる社会福祉施設も、平時からキャパオーバーしていることがまま見られるため、バックアップ体制(ヒト・モノ・カネに加えて専門性等)を早急に整えてください。全国の男女共同参画センターや女性センター間の災害相互支援ネット(2021年7月設置)の強化のために、防災の専門人材や予算の早急な確保が必要です。自治体レベルでのネットワーク組織や中間支援組織がNPOや災害ボランティアの活動をより効果的にします。それらが不在の地域においては発足を支援し、その上で、多様な主体の連携や調整のためのデジタル・トランスフォーメーションを一層促進してください。

多様な政策提言 (個別政策)

海外でも災害が多発していることを踏まえての「減災」支援と被災者の貧困対策の強化

日本ばかりでなく世界中で、気候変動により激甚化したと推測される洪水、熱波、干ばつ等の被害が多発しています。これらの被害に最も弱いのは、国内外問わず貧困層です。特に、途上国における社会的脆弱層の多くは農林水産業など自然資源に直接かかわる産業で生計を立てている場合が多く、一度の災害で住居と生業の双方を失い、さらなる貧困に陥る恐れもあるだけに、開発援助における「防災の主流化」はますます重要になっています。目標13の「気候変動」のみならず、目標1「貧困」、2「食料・飢餓」、5「ジェンダー平等」、8「経済・雇用」、9「レジリエントなインフラ構築」、11「持続可能な都市」、14「海の豊かさ」及び15「陸の豊かさ」など、他の目標との関係も見ながら資金供与・技術移転・能力開発等の包摂的な対策をすることが、「誰も取り残さない」といった観点からも非常に重要です。

災害時に取り残されがちな「住民・地域」における備えの強化

防災教育、避難行動要支援者やジェンダー、多様性の視点を入れた地域防災計画の策定と自主防災訓練、避難行動要支援者情報の整理、福祉避難所あるいは避難スペースの協力施設拡充を含む避難所の整備徹底、観光客を含む在日外国人への情報流布、復興期における多様な課題への対応を進め、国際的に著名なスフィア基準の啓発活動も推進してください。2021年の災害対策基本法改定により避難行動が多様化し、被災者の把握が困難となると予想されるので、すべての避難者に支援が行き届くよう、平時から関係機関の連携や情報共有の方法の検討が必要があり、それが地域の受援力の強化につながります。2015年の水防法改正により、ハザードマップは「千年に一度の災害」を想定したものに更新されていますが、既存の住宅所有者に向けての周知に遅れがあるため促進してください。「災害対応を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」(内閣府、2020年)の全国レベルでの普及・活用を促進してください。

気候変動適応策等への支援実施

各主体の気候変動への適応策やコミュニティのレジリエンスの強化についてのノウハウや技術支援が求められています。

地方自治体への防災・減災施策と障害者総合支援法とを関連づけた、障害者の参画に基づいた防災政策の実現

災害に関わる「事業継続計画」の義務化は進展しているが、実施体制の遅れは近年の災害で立証されています。自治体における防災計画策定にあたっては、高齢者や障害者、病人などの避難行動要支援者の視点を重視してください。

ジェンダーをはじめ災害弱者の視点を有する「防災スペシャリスト」及び「災害専門ボランティア」の養成

自治体職員の中で養成される「防災スペシャリスト」、及び地域住民の中で養成される「災害専門ボランティア」について、その育成やあらゆるレベルの意思決定の場において女性、ユース、及び多様な災害弱者の参画を促進してください。また、被災に関するジェンダー統計の収集と分析及び公表が必要です。

途上国での有償資金協力によるインフラ支援の改善

社会環境配慮ガイドライン等の順守、インフラ案件に関する地域住民の参画の保障、インフラ支援に関わる反腐敗メカニズムの整備、現地のニーズに合った適正技術を導入してください。

山林の整備、治水対策

近年の土砂災害に見られるとおり、山林の荒廃は災害リスクとなっている。「国土強靱化基本計画」の推進方針にも掲げられている山地災害リスクの総合的分析と治山対策(複合防御型治山対策の推進含む)を推進するとともに、その分析結果を近隣地域の多様な主体が活用できるよう、連携及び発信を強化する。所有者及び共有者不明の森林についても、新たな制度を確立し迅速な対応を進めてください。河川流域対策の実施に際して市町村、民間事業者及び地元住民の連携を促進し、被災後には重機の技術者が必須となっていることを踏まえ、そうした技術者の掌握、育成及び地域を越えた連携が重要です。

気候変動リスクや災害の情報発信と共有

気候変動の影響を未然に回避するために気候関連のリスクや災害に関する情報を把握し、それらの知識、対応策について、国・自治体・企業・地域コミュニティらが連携して情報発信することが重要です。

地域コミュニティにおける防災対策事業や被災前の復興計画作りへの資金計上

内閣府の「事前防災・減災推進のため」の事業に加えて、地元行政と地域コミュニティが主体となり被災前から積極的に防災の主流化を盛り込んだ防災まちづくり計画を策定・実施できるよう、支援してください。これら「防災」施策は発災後に対応するよりも経済的です。防災では増大する「空き家」や「所有者不明の土地」がリスクとなることを考慮し、計画策定時に積極的な対応がとれるよう、制度を整えてください。被災前から復興計画を作る取り組みも迅速復興への有効性に鑑み支援してください。

気候変動の影響緩和のための温室効果ガス排出削減の促進

気候変動の影響緩和のために温室効果ガス排出削減をさらに大胆に進めてください。

気候関連リスクに関する国・地域の計画策定

気候関連のリスクへの対応策について横断的な計画を国・地域の適応計画として策定し、新たな知見の獲得に応じた改定が必要です。

開発援助協力におけるソフト面での対応強化

災害ボランティアセンターや自主防災組織、ハザードマップなどの仕組みや手法など、ハード対策とに加えてソフト対策のベストミックスを日本の知見を踏まえて海外に伝え、事前防災の段階から人道的観点並びに多様性を考慮すべく、日本のODA事業にNPO/NGOの参画を促進することが重要です。大災害発生の直後には専門家やNPO/NGOを含めた形での原因の検証を、当該国政府や自治体等とも協力して推進してください。都市インフラは、その整備によって生じる災害リスクについても日本の知見を踏まえ援助対象国に適切に伝達することが重要です。ターゲット11.bに謳う防災の「計画」が未整備の国が世界の3分の1以上に及ぶことを踏まえ、その策定を支援するとともに、災害時に対応の前線となる地方行政の対応能力向上も一体的に支援してください。

政府の優先課題に対応する、市民社会の優先課題

① みんなの人権が尊重され、貧困・格差のない、誰一人取り残さない社会

年齢、障害、先住性、国籍・民族、雇用形態など

大切にしたい視点

② ジェンダー平等が実現された社会

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ジェンダー、性的指向・性自認など

大切にしたい視点

③ すべての世代のすべての人の健康と福祉の実現

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高齢化、経済状況、障害、国籍・民族、情報、保健医療アクセス、社会的・環境的要因など 

大切にしたい視点

④ 持続可能な経済・社会・地域の実現

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少子高齢化、第1次産業、バリアフリー・ユニバーサルアクセス、零細・中小企業、科学技術の倫理・法・社会的側面など

大切にしたい視点

⑤ 災害の防止と被害の軽減、生活に必要なインフラの確保

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災害に対する脆弱性、人権、スフィア基準など

大切にしたい視点

⑥ 省エネ強化、再生可能エネルギーへの転換・気候変動への取組・循環型社会の実現

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気候変動、脱炭素社会、エネルギー転換など

大切にしたい視点

⑦ 生物多様性・森林・海洋等の環境の保全

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将来世代、国内や途上国の脆弱層 / 貧困層など 

大切にしたい視点

⑧ 平和・参加型民主主義、透明性と責任・司法アクセス

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グッド・ガバナンス、参加型意思決定、市民意識の醸成など

大切にしたい視点

⑨ あらゆる人・セクターのパートナーシップによるSDGs達成

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市民社会、「もっとも遠くにある人を第一に」など

大切にしたい視点

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