SDGs Runners:株式会社大川印刷様(SDGsジャパン企業会員)


当企画は一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(以下SDGsジャパン)の学生ボランティアによる、各セクターのSDGsへの取組み事例を取材する企画です。SDGsジャパンの企業会員である株式会社大川印刷の代表取締役社長、大川哲郎様にお話を伺いました。

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SDGsに取り組む経緯——2017年から私どもは本格的にSDGsに取り組んで、2018年にSDGsパートナーシップ賞を頂戴しましたが、急ピッチにSDGsに取り組み始めたわけではありません。バブル崩壊の売上減少をキッカケに企業の持続可能性を考え、2004年に地域や社会に必要とされる「人」と「企業」を掲げて私どものCSRに位置付けました。CSRは「企業の」「社会貢献」と訳したために「企業の」で社員さんが関心をなくし、「社会貢献」で利益が出た企業が寄付等を行えばいいと考える経営者が多かったのですが。私はCSRを研究する機会に恵まれたおかげで、本業を通じて社会課題を解決するのがCSRの王道ということを2004年の時点で数名の経営者と共に確信しました。そこから印刷を通じて社会課題を解決する会社、Social Printing Company®(社会的印刷会社)を私が6代目社長就任時に今でいうPurposeとして宣言しました。それから13年間、徹底的に社会課題解決をやってきまして2017年に今までやってきたCSR(=本業を通じた社会課題解決)をSDGsによって棚卸ししました。


SDGsに取り組む中での苦労——弊社はCSRからSDGsへのシフトにはそれほど苦労してないんですね。ですが、2017年の経営計画にSDGsを組み込んだ際にガクっときたことがありました。SDGs経営計画を立てた約半年後に「何が変わったか?」とアンケートを取ったときに、営業部門や制作部門は「世界の課題との結び付きが分かった」と比較的好意的な意見が多かったのです。しかし工場勤務の方の評判は良くなくて、実際に聞くと「何もかわらない」「CSRとSDGsで取り組みの差異が分からない」と意見が挙がりました。しかしよくよく聴いてみると「以前から本業を通じた社会課題解決を目指してきたため、SDGsの取り組みになっても違いがわからない」といった感想をもっている人がいることが分かりました。しかし、意外にもお客様の方が環境印刷など製品を通じた社会課題解決が伝わらなくて苦労しました。本当に話を聞いてもらえるようになったのはSDGsが認知されてきた、ここ3,4年です。環境負荷を削減する提案をしてもなかなか取り合ってもらえなかったですね。


SDGsへ若者ができる取り組み——それは幾らでもあると思います。今掲げられている課題は人類の課題ですから、若い人にも関係がないわけがありません。むしろ若い人たちの方が、後々に直接的に気候変動のダメージが来るため真剣に立ち向かう人が多いのは当然と言えます。そう考えると、一人ひとりのライフスタイルで見直すべき点があると思います。しかし、やっぱり対立構造を生む行動からは相手や社会を動かすのに繋がらないときがあると思うんですよね。たとえば「クライメート・ジャスティス」について弊社も呼びかけを行ったことがありますが、関心のない人たちにとっては声高に伝えられれば伝えられるだけ距離が縮むのではなく、逆に遠ざかっていってしまう感覚を覚えたこともありました。


2030年(SDGs目標達成)までに意欲的に取り組みたいこと——2030年までに立てた目標がありまして、一番分かりやすいところでいうとサプライチェーン排出量の削減です。パリ協定で「1.5℃目標」がありますね。これに向かって世界の企業が動き出していますが、弊社の仕事が排出の「川上」「川中」「川下」の「川中」としますと、直接的に車の使用時にCO₂を排出するSCOPE1、そして購入しているエネルギーとしての電力を発電する時に排出されるCO2のSCOPE2が「川中」の弊社で輩出しているCO2になります。


そして「川上」の原材料としての紙やインキの製造時に排出されるCO2、そして「川下」の製品の使用や廃棄に関するCO2はSCOPE3とされます。このSCOPE3が非常に厄介で、たとえば原材料の製造だけでなく、原材料を運ぶ物流に関してもサプライチェーン排出量に含みます。更に厄介なのは、製品を販売、使用、廃棄するところまで排出量に含まれることです。これを2030年までにゼロ化というのを社の目標に掲げていましたが、改めて社員さん有志のメンバーで計画案を策定した結果「2030年は遅すぎる」と2025年に前倒しになりました。進捗はまだまだで、より具体的な行動計画を社員さんにも求めています。


SDGsへの現在の具体的な取り組み——弊社の中核のお仕事からお話しします。私たちの環境印刷は「風と太陽で刷る印刷」と言っておりますが、太陽光パネルによる自家発電で約20%、残り約80%は青森県横浜町の風力発電の電力を購入する形で賄っています。風力発電の部分はFIT(固定価格買取制度)のため環境価値がついていません。そのためCO2ゼロとするためにはカーボン・オフセットしなければなりません。それも実施しSCOPE1、2はゼロ化ができていると言えます。「そこまでやるなんて変わってるね」と言われますが、これからはそういう時代になると思います。以上が環境印刷の一番のメインの取り組みですが、他にも2021年に中小企業の印刷会社として初めてSBT認定(※1)を受けてまして、お客様が環境印刷や脱炭素に取り組みたいというときに「大川印刷なら」と信用頂いています。また、他社と違って仕事毎ではなく会社としてサプライチェーン排出量のSCOPE1とSCOPE2は追加料金を頂くことなくゼロ化しておりまして、お客様からSCOPE3もゼロ化したいとご希望がございましたら有償でご支援しております。


 

※1:企業は毎年、温室効果ガスを2.5%以上削減することを目標とし、5年~15年先の⽬標を設定する。その際、事業者自らが直接排出するものだけでなく、他社から排出されたものを含めたサプライチェーン全体の温室効果ガスの削減が求められる。SBT認定後も排出量や対策の進捗状況を毎年開示し、定期的に目標の妥当性を確認する必要がある。

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