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【SDGs Blog】コロナ禍によって拡大する世界の教育格差と日本の役割




コロナ禍はSDG4(教育目標)にも大きな影響を与え続けています。ピーク時には世界の子ども・若者の91%にあたる15億人が学校閉鎖に直面しました。3月21日時点でも1億6392万人の小中高生が通う学校が、全面あるいは部分閉鎖しています[i]。世界平均で全学期の3分の1の教育日数が失われました。学校閉鎖の間、多くの国でオンライン授業が実施されましたが、4700万人の子どもはオンライン授業にアクセスできず、取り残されてしまいました。


学校は学ぶ場所であると同時に、子どもを保護し、発達を促し、健康を保つ場所でもあります。開発途上国では学校閉鎖のために、児童労働、児童虐待、児童婚、栄養失調が増加しました。深刻なことに、現状の傾向が続けば、コロナ禍以前には通学していた2400万人の子どもが学校に戻ってこない、つまり退学してしまうとUNESCOは推定しています[ii]。もともとコロナ禍以前に2億5800万人の子どもが小中高校に行っていませんでしたから、SDG4の達成はますます遠のいてしまうことになります。


では日本はどうすればいいのでしょうか。途上国政府が教育予算を減らさないことが第一ですが、コロナ禍による経済悪化のため、歳入が減っています。そこで教育協力が益々必要とされています。といっても日本が途上国に専門家を派遣したり、途上国から研修生を日本に招いて研修を行うのは当面無理です。そこで二国間遠所の資金を教育支援のための多国間機関である「教育のためのグローバル・パートナーシップ(GPE)」に拠出することが有益です。GPEは遠隔教育や学校再開のための支援を66ヵ国で500億円の規模で実施しています。GPEによる支援の特徴は、国連や先進国の援助機関がプロジェクトを実施するのではなく、教育開発計画、つまりSDG4達成のための計画を途上国政府の教育省が自ら立案・実施し、援助機関および市民社会はその進捗、援助資金の使われ方をモニターし、必要な助言を与えることです。


今年の7月に英国の主催でGPEの増資会合が開かれることから、教育協力NGOネットワーク(JNNE)は、5000万ドルの拠出を約束することを外務大臣に提案しています。すでに豪やUAEがこの額を拠出していますが日本の拠出金は800万ドルにとどまっています。日本はGPEへの拠出を大幅に増やすことで、コロナ時代におけるSDG4の達成に貢献することができます。


三宅隆史(教育協力 NGO ネットワーク(JNNE) 、シャンティ国際ボランティア会(SVA))

 

[i] UNESCOによる学校閉鎖についての最新データhttps://en.unesco.org/covid19/educationresponse [ii] UNESCO事務局長の国際教育の日(2021年1月24日)のメッセージ https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000375346_eng

 

このメッセージは日経BPが運営する「未来コトハジメ」で登録をされた方へ2021年4月22日付で配信されたメールマガジンに掲載されたエッセイを加筆修正したものです。

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