【SDGs Blog】「課題が主役」の地域円卓会議で、決めてみる・やってみる地域づくり


SDGsジャパンの事業統括ユニットのひとつ、社会的責任ユニットの幹事団体である、人と組織と地球のための国際研究所(IIHOE)の川北 秀人さんにエッセイ「「課題が主役」の地域円卓会議で、決めてみる・やってみる地域づくり」を寄稿いただきました。


※本エッセイは8月10日に発行されたメールマガジン「未来コトハジメNEWS」の巻頭コラム「ミラコト・サロン」に寄稿された原稿を加筆修正いただきました。

※社会的責任ユニットは、あらゆる組織が社会的責任と信頼を向上させるとともに、マルチステークホルダー・プロセスで課題解決をすることを推進する「社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)」を運営母体として活動しています。

 

SDGsのゴール17(実施手段:パートナーシップで目標を実現しよう)として、パートナーシップが織り込まれていることはよく知られていますが、その位置付けは、17番目ではありません。


SDGsのゴールが定められている「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の前文の第2段落は、「すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的な(注:原文は「collaborative」)パートナーシップの下、この計画を実行する」という文から始まり、その段落の最後にあるのが「我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う」という文です。


つまりSDGsは、世界のあらゆる場面で、多様な人々が立場を超えて連携して、課題に挑むことを念頭に置いているのです。みなさんがくらす地域には、それぞれに歴史や育まれた文化などがあり、また、それぞれに課題もあります。他の地域との連携も有効ですが、しかし、そこにくらす住民自らが考え、決め、担うのが自治です。持続可能な地域づくりにとって重要なのは、その地域にくらす多様な人々が、ともに考え、決め、担う協働が進む環境・関係づくりです。これを「マルチ・ステークホルダー・プロセス」と呼びます。


日本では、住民に、行事や活動など実践の場面への「参加」やその呼びかけはよく見られますが、ともに考え、決めるという、一定の責任を伴う意思決定の場面への「参画」は、残念ながら進んでいません。パートナーシップによる持続可能性の向上を地域の自治において進めるためには、多様な人々が意思決定に参画することが重要であり、また、その実践の際にも有効です。この点は、企業のみならず、行政や学校、労働組合やNPOなど、あらゆる組織の社会責任(社会貢献ではなく、事業・組織の経営全般に及ぶ環境や人権などへの配慮と対応という、本来的な意義での社会「責任」)対応の国際規格であるISO26000においても、「ステークホルダーの特定及びステークホルダーエンゲージメントは、組織の社会的責任に関する活動の中心となる」(5.3.1)と、冒頭部に明記されています。


特に今日のように、社会課題や個人が抱える困りごとが、多様・複雑で、しかも深刻化している状況においては、行政や企業、NPOなど、特定の組織・機関が、過去に定められたサービスを提供するだけでは、解決が困難であることは、その現場を担っている人々は十分に体感的に理解しています。だからこそ、福祉・医療や健康づくりをはじめとするさまざまな分野で、多様な専門職の連携の必要性や有効性が指摘され、その枠組みづくりが進められているのです。


しかし、課題の解決や理想の実現は、その分野の専門職だけが集まって決めて実践するだけでは、状況改善の持続可能性が見込まれません。サービスや製品を選び、与えられるだけの単なる消費者ではなく、自らよりよい社会づくりの担い手となる市民へと育つ過程を、日常的に設けることができなければ、持続可能性は高まりません。このため、多様な人々が、立場を超えて協議し、課題に挑むための判断や実践をともにするためのきっかけとして、各地に広がりつつあるのが、「地域円卓会議」です。


行政などが主催する会議は、あくまでその主催者の意図・ねらいのために開催されます。しかし、地域円卓会議では、主役は地域の課題そのもの。課題の解決に向けて、多様な主体が、それぞれどう参加・協力できるかを、主体的に考え、連携の進め方を模索します。

こうした「課題の前で対等な関係」は、被災時などの緊急時において、大きな力を発揮します。顔が見える関係、お互いが安心・信頼できる経験の共有は、地域の力を引き出すのです。

NNネットでは、IIHOEを中心に、「地域円卓会議」の普及を働きかけ続けています。ぜひ、みなさんの地域でも、円卓会議を開催してみてはいかがでしょうか。

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