SDGs Runners: 山口産業株式会社 代表取締役社長 山口明宏さん

SDGsに取り組み団体・企業を紹介する「SDGs Runners」。

第2弾は企業会員の山口産業株式会社 代表取締役社長 山口明宏さんに寄稿していただきました。


同社がすすめる「やさしい革」は、SDGsジャパンのオリジナルSDGsバッジの下地にも使われています。やさしい革に取り組むきっかけ、そしてその広がりについてご紹介いただきます。

 

1938年に墨田区に創業して以来、「持つ人に喜びを、使う人に夢を与える革づくり」をモットーに皮革製造工場として歴史を刻んできました。


私たちは、人にも自然にもやさしい、素肌のような革を創ることを目指して、1990年に植物タンニンで動物皮をなめす独自の「ラセッテーなめし製法」を開発しました。そして2015年、製造する全ての革をラセッテーなめし製法に切り替えて、人と自然と環境にやさしい革づくりに向けて更なる一歩を踏み出しました。



「RUSSETY(ラセッテー)」とは、russet(朽葉)をもとにした造語で、木々から落ちた葉が土に還りまた新しい命を育むという循環型社会を皮革の世界でも実現して行きたい、と思いを込めて名付けました。計画的に植林されたミモザの枝や幹を粉砕した植物タンニンを使用することで、従来の重金属系クロム剤(塩基性硫酸クロム)を使ってなめした革やその製品と比べて、自然や人体に有害となる物質が排出されるリスクを最小限にとどめることを実現し、日本エコレザー基準第一号の認証も受けています。


この製法により完成した皮革素材は、赤ちゃんや敏感肌の人に向けた製品でも安心して使うことが出来ます。また生分解した後は消費後に土に還すこともできます。



私たちは、このラセッテーなめし製法で作られた革素材を「やさしい革」と呼称し、つくる人にも使う人にもやさしい皮革消費文化づくりを目指して2017年に一般社団法人やさしい革を設立しました。当社団法人では、やさしさに包まれた消費文化を育て、次世代につなげて広めて行くために、「やさしい革の約束~4つのゼロ」を定義し、その約束を守る具体的な行動を3つのプロジェクトで実行しています。



■4つのゼロ

①工場排水のクロムがゼロ

ラセッテーなめし技術当社だけのを当社だけの技術ではなく、世界各地の希望する企業や団体と共有し、 、皮革工場からのクロム排水ゼロを実現します。生産活動に起因する土壌汚染やクロムを含んだ産業廃棄物の発生をゼロにすることで、「安全な排水」で「海や陸の豊かさを守る」ことを実現し、皮革工場の「つくる責任」そして消費者が皮革製品を「使う責任」を達成します。


②仕事のストレスがゼロ

皮革産業に携わる工場の多くが小規模であり、人手不足などから働く人に負荷をかけている職場も少なくありません。人権に配慮し、働く人が安全で安心して働ける職場環境で生産されていることを約束します。




③動物のストレスがゼロ

動物の飼育環境も重視します。檻に身動きできないように閉じ込められることなく、その動物の習性に適した環境で育てられ”動物としての幸せ”に配慮した飼育環境で育った原料皮を使用します。




④不公平・不公正な取引がゼロ

適正な価格で取引された原料皮、運搬する流通費用も適正であること、そして働く人に適正な対価が支払われていること。全てにおいて健全な企業運営と皮革産業の発展に意欲的に取り組む革製品を消費者に届けることを約束します。




■3つのプロジェクト

「MATAGIプロジェクト」

日本中で課題となっている猪やシカによる森林破壊や田畑を荒らす獣害。この駆除対策により排出される獣皮を鞣し(なめし)て元の産地に獣革素材として還す、“頂いた命の革を最後の1枚まで大切に使い切る”活動です。2008年の事業開始以降、2021年9月現在では全国450カ所以上の獣皮産地が当プロジェクトに参画し、完成した獣革の有効資源化や特産品開発に挑戦しています。


「WORLD LEATHER PROJECT」

私たち人間が古来より受け継ぐ食肉文化の副産物として牛・羊・ヤギなどの畜産皮が世界中にありますが、その約9割がクロムなめしによって皮革素材となっています。特に後進国においては、クロム排水処理が追い付かず土壌汚染や健康被害が大きな課題になっています。ラセッテーなめし技術シェアによってこの問題を解決し、“きれいな水に溢れる地球づくり”に向けて、2018年JICA民間連携事業により先ずはモンゴル国のタンナー(なめし工場)に技術提供を開始しています。


「ハッピー・ピッグ・プロジェクト」

国内の養豚数は月間で100万頭に及びます。その殆どが食肉副産物として豚革素材となり、靴やバッグ用などに使用されています。豚から人へは沢山の恩恵がありますが、人から豚へは何が出来るのであろう?六か月で生育し食用となる期間に、全ての豚に幸せを運ぶことは出来ないだろうか!と、当プロジェクトは2020年にスタートしました。

皮革製品を作る企業は“ぶたから部会”、豚に遊び道具を届けたり、養豚場に快適な音響をプレゼントする”ひとから部会“として、活動の幅を国内そして世界に広げて行きます。


私たちは、山口産業株式会社の人と自然と環境にやさしい“ラセッテーなめし技術”と、一般社団法人やさしい革による“新商流と消費文化の形成”を両翼として、“やさしい革のある暮らしの実現”に向けて歩み続けます。

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