SDGsを基本理念とする新型コロナ対策を「SDGs推進円卓会議」がSDGs推進本部に提言書を提出
【2020年7月30日:東京】7月30日、第10回SDGs推進円卓会議が開催され、新型コロナ対策の基本理念にSDGsを据えることを訴える提言書が、円卓会議構成員から政府のSDGs推進本部(本部長:安倍晋三内閣総理大臣)に手渡されました。
*SDGs推進円卓会議構成員(14名)とSDGs推進本部幹事会副議長小野啓一氏(右下)
SDGs推進円卓会議は、政府のSDGs推進策について、多様な関係者による協力・助言を得るために2016年に設置され、行政、市民社会、民間企業、国際機関、労働組合などの代表者14名で構成され、政府の「SDGs実施指針」の策定をはじめ、政府のSDGs推進の取り組みに有用な提言を行ってきました。SDGs市民社会ネットワークからは、三輪敦子共同代表理事と稲場雅紀政策顧問が構成員として参加しています。
新型コロナウイルス感染症は、世界すべての人々に大きな影響を及ぼしています。SDGsに照らしても、保健(ゴール3)の問題のみならず、貧困・格差の拡大(ゴール1・10)、教育へのアクセスの阻害(ゴール4)、ジェンダーにかかわる暴力の増加やケア労働負担の女性への集中(ゴール5)、失業や生活困窮の増加(ゴール9)、特に都市貧困層への深刻なダメージ(ゴール11)などが生じています。また、コロナ対策のガバナンス(ゴール16)やパートナーシップの構築(ゴール17)の在り方が、各国のコロナ対策の成否を左右する状況にあります。SDGsは、社会が直面してきた課題を包括的にまとめ、今後の取り組みの指針を示す国際目標であり、社会全体に影響を与える新型コロナに対する包括的な取り組みの羅針盤となるものです。
円卓会議の提言書では、SDGsをコロナ対策の基本理念に据えることを求め、至急SDGs推進本部の会合を開催すること、『新たな日常』実行計画をはじめとする主要政策の策定・実施においてSDGsを主流化すること、これらを通じて「Withコロナ社会」におけるレジリエンスの強化に努め、SDGsの達成された持続可能な「Afterコロナ社会」の実現に向けた国家戦略を策定すること、の3点を「緊急提言」として求めています。また、それに関連して、公開性・透明性・民主的手続きを伴うコロナ対策のガバナンス強化、市民に分かりやすい広報の徹底とエビデンス重視の政策評価の構築、災害対策やジェンダー、教育機会の確保、失業や生活困窮への対策強化などコロナ時代のレジリエンス(回復力、しなやかな強さ)の強化を行い、これを通じて、持続可能でSDGsの達成された「Afterコロナ社会」の実現に道を開いていくことを求め、コロナ対策とSDGs達成を結び付けた中長期のビジョンの形成を呼びかけています。また、地球規模でのコロナの克服に向けた国際的な連帯を訴え、日本の指導力発揮を求めています。
提言を受け取った小野啓一・外務省地球規模課題審議官(SDGs推進本部幹事会副議長)は、「大事な提言をいただいた。誰も取り残さないSDGsと、ひとりひとりの人間に焦点を置く『人間の安全保障』をベースに、コロナ対策とSDGsの達成に取り組む。」と述べました。また、全ての円卓会議構成員から、SDGsをコロナ対策の基本理念とすることを求める本提言書の内容に即した発言がなされました。
この提言書の策定には、市民社会から選出された円卓会議構成員が積極的に関与しました。SDGs市民社会ネットワークは、日本政府がこの提言書を踏まえ、SDGsをコロナ対策の基本理念に据えてコロナ克服と、だれも取り残さない持続可能な社会への中長期の取り組みを進めていくことを強く求めるものです。
SDGs円卓会議の開催について報告する外務省のページはこちら
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