[SDGs Blog]公正なルールに基づく包摂的な社会は、SDGs達成の前提

新型コロナの影響で開催延期となっていた京都コングレス(国連犯罪防止刑事司法会議)が3月7日から、「SDGsの達成に向けた犯罪防止・刑事司法及び法の支配の推進」をテーマに京都で開催されました。そこでは再犯防止のために官民連携で更生と社会復帰の支援を促進することなどが盛り込まれた「京都宣言」が採択されました。


SDGsと犯罪防止がどう結びつくのでしょうか。それは、為政者や当局の恣意的な政治がまかり通るのではなく、公正なルールに基づき、法の支配が浸透した安全・安心な社会の実現が犯罪を防止し,そのことが持続可能で、「誰一人取り残さない」社会につながるのではないかと、個人的には捉えています。


この会議で議論されたSDG16は、自由の尊重、法の支配、司法へのアクセス等が含まれており、SDGsの他の目標達成のためには、必要不可欠な横断的な目標です。何故なら、どんなに貧困削減、教育、ジェンダーの問題に取り組んでも、ゴール16にある、政府の透明性、情報へのアクセス、基本的自由、公正なルール、包摂的な社会が保障されなければ、「持続可能な社会」にはならないからです。


SDGsが含まれる文書「2030アジェンダ」の前文には、「より大きな自由における普遍的な平和の強化の追求」、「誰一人取り残さない」、「すべての人びとの人権の実現」等が力強く謳われており、これらの人権に関する言及は、SDGsの本質であるといっていいでしょう。


最近では特に、経済のグローバル化が進み、影響力を増した企業による人権侵害が社会的な問題となっています。


記憶にも新しい、重大な人権侵害の事例では、2013年、バングラデシュで、世界的に有名なファーストファッションブランドの縫製工程を請け負っていた工場が崩落し、1000人以上の方が命を落としました。この工場では、低賃金等の劣悪な条件で労働者が働かされ、違法建築を繰り返したことが崩落の原因でした。


また今年に入ってミャンマー国軍のクーデターに関し、キリンホールディングスは、かねてから国連から指摘されていた、国軍との関係の深い現地企業との合弁会社の解消を要請するとの報道がなされています。


今では企業のサプライチェーン上での人権侵害を無くすために、「ビジネスと人権」に関する様々なルールやガイドラインが作られてきています。


その代表的なものが、2011年に国連で採択された、「ビジネスと人権に関する指導原則」です。そしてこの「指導原則」を促進させるために、各国は「行動計画(NAP)」を策定することが国際約束となり、昨年10月、日本政府は、アジアでタイに次ぐ2番目となるNAPを公表しました。この最大の特徴は、企業に対して人権への影響の特定や予防・対策等を行う「人権デューディリジェンス」の取組を推奨していることであり、市民社会をはじめとするステークホルダーとしっかり協議することが求められています。


法の支配、公正なルールに基づく社会を作るには、何もせず待っているだけで実現できるものではありません、まずは、我々自身がこの問題に関心持ち、我々の声を代弁してくれる議員を選び、そして政策や法律など変えることで、社会が変わるのです。


出来ることから是非一緒に行動しませんか!


特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長 若林秀樹


このメッセージは日経BPが運営する「未来コトハジメ」で登録をされた方へ2021年3月11日付で配信されたメールマガジンに掲載されたエッセイを加筆修正したものです。

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