[SDGsRunnners]世界の医療団

SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団体の特定非営利活動法人世界の医療団より、同団体のSDGsの達成に向けた取り組みについてご紹介いただきました。

 
「誰もが治療を受けられる未来を」世界の医療団の活動

世界の医療団(メドゥサン・デュ・モンド)は、紛争や自然災害、貧困、差別などで医療を受けられない人々に医療を届け、将来にわたって医療を受けられるよう活動する国際NGOです。フランスで設立され、現在17ヶ国に活動拠点があり、74ヶ国で330のプロジェクトを実施しています*。*1月現在


SDGsの17の目標のうち、世界の医療団の活動の中心になるのは「3、すべての人に健康と福祉を」です。単に病院やクリニックが近くにあればいいというだけでなく、医療サービスの質は適切か、アクセスできるのか、また支払い可能かなど、さまざまな側面に働きかけながら、「健康への権利」を実現するために医療につなげる活動を行っています。今回は世界の医療団 日本が実施する3つのプロジェクトについて、コロナ禍におけるそれぞれの取り組みを紹介します。


ロヒンギャ難民コミュニティ支援プロジェクト

―民族や性別の隔たりなく、正しい情報を届ける

ミャンマーの少数民族ロヒンギャの人々が暮らす難民キャンプでは、およそ100万人の人々が身を寄せあって生活しています。一つ屋根の下で5~10人の大人数が過ごすという、3密になりやすい空間で、新型コロナウイルスに限らず病気が蔓延しやすい環境にあります。またキャンプ内では、しばしばインターネットの通信制限が課され、情報を得るのが困難です。さらに女性は慣習的に、10歳になると「家の外に出てはいけない」と言われこもりがちになり、情報にアクセスすることが難しい状況です。そこで世界の医療団では、ロヒンギャ難民の若者を中心としたユースボランティアを育成し、彼らによる家庭訪問を実施。教育の機会がなく読み書きがままならない多くの女性たちにも分かりやすいよう、紙芝居で予防の方法などを説明しながら、啓発・教育活動と日々の見守りを行っています。



ラオス地域医療強化プロジェクト

―医療になじみのない地域で感染を予防する

活動地の北部フアパン県は、国内でも貧困率の高い地域です。また未整備の道路が多く、数少ない医療施設に行くためには、車が必要でガソリン代がかかります。金銭的負担を嫌い、家庭によっては「医療はぜいたく品」とされ敬遠されています。そのため伝統医療に頼るなど、医療機関に行かない人々がとても多い地域です。そのように医療になじみのない人々が多い地域で、2021年5月から新型コロナウイルスに関する活動を開始しました。一か月の世帯収入が貧困の指標となる6,000円以下の家庭を対象に、現地スタッフが数時間かけて赴き、各家庭を訪問。衛生用品の入手が困難な家庭に感染予防品を配布するとともに、マスクになじみのない人々にはまずマスクの付け方や、着用の重要性などの知識を丁寧に伝えることで、予防啓発に努めました。



ハウジングファースト東京プロジェクト

 ―ワクチン接種から取り残されていた人々

世界の医療団では、ホームレス状態にある人々を対象に、月に2回の池袋の公園で実施する無料医療相談会、週に1度駅周辺で行う夜回り、また日中の居場所づくりの活動を実施しています。国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が進む2021年、希望する人々が接種を受けられていない現状がありました。そもそもワクチン接種券は、住まいが不安定な人々には届きません。また接種時に提示する身分証明書がない、副反応で発熱しても泊まるところがないなど、接種に至るまでいくつもの壁が存在していました。そこで私たちは数ヶ月にわたり行政と協議を続け、「氏名と生年月日の登録だけで予約ができるようにする」、「接種翌日に相談ブースを設置することで副反応に対応する」など対策を練り、ひとつひとつの障壁の解決を目指しました。ついに同年秋、豊島区および池袋保健所の協力を得て、ワクチン接種会が実現。64人が2回の接種を完了し、接種証明を受け取った方からは「ホッとしたよ」と安堵の声がもれました。現在も医療相談会の場で、ワクチンに関する質問や相談を受け付けながら、3回目の接種会に向け動き出しています。


このように、「3、すべての人に健康と福祉を」実現するための活動は同時に、「4、質の高い教育をみんなに」「6、ジェンダー平等を実現しよう」「10、人や国の不平等をなくそう」「16、平和と公正をすべての人に」「17、パートナーシップで目標を達成しよう」の実現にも貢献しています。またウクライナでは、現地で2015年から活動する世界の医療団のネットワークを通じて、戦争で傷ついた人々と破壊された医療体制に対し、緊急医療支援を行っています。


そして、私たちが普段接するのは医療につながるのが難しい人たちです。SDGsの前文では「誰一人取り残さない」ことを誓っており、医療を受けることは「権利」であると考える私たちは、これを非常に重要なことだと捉えています。既存の医療・福祉サービスだけでは仕組みから漏れてしまう人々、取り残される人々がいるからです。「本当に誰も取り残していないか」といつも振り返りながら、そしてそのような意識で取り組むことを大切にしながら、今日も「世界のすべての人に健康と福祉を」目指して活動を続けています。

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