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SDSN「持続可能な開発報告書2026」へのコメントを発表

  • 7 時間前
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SDR2026表紙
SDR2026表紙

例年通り国連系の民間研究組織「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が、世界各国のSDGsの進捗状況を評価した2026年SDGs報告書(Sustainable Development Report 2026)を6月23日に発表した。以下はその報告書に対する、一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(以下、SDGsジャパン)としてのコメントと分析である。


1.主要メディアによる報道:平和なければSDGs達成は困難

この発表に対して今年は、まず日本経済新聞(下田敏編集委員)がその日の朝に「世界の貧困、増加の勢い SDGs息切れ『30年目標』達成ゼロも」という比較的長い記事で、世界全体でのSDGsの目標達成の可能性に焦点を当てて、主に以下の点を訴えた。


  1. SDGsの17の目標のどれも、2030年までに達成できそうもない

  2. 世界の貧困は、削減の停滞から増加に転じる恐れがある

  3. SDGsは平和が前提だが、最近の紛争の増加と援助の減少で、目標2の飢餓は逆にSDGsが始まった2016年に比べて約2.5倍増加した

  4. こうした結果、目標の下にある169のターゲットで見ると、軌道に乗っているのは僅か16.5%、65%は限定的な改善、後退しているのが16.5%という厳しい状態だ


同日夕方には、朝日新聞(北郷美由紀編集委員)が「SDGs進度、日本20位に後退 『達成済み』目標ゼロに」という、主に日本のSDGs達成に着目した記事が掲載された。下は、この記事の要点を筆者なりにまとめたものだ。


  1. )SDGs達成に向けた進捗の1位は6年間連続でフィンランド、続く2位・3位も昨年に続いてスウェーデンとデンマークでどれも北欧諸国。一方日本の順位は20位で、2017年の過去最高11位から下がったまま低迷が続き、ここ数年はこの順位前後が続いているが、それでも欧州以外では最上位国。

  2. )日本のSDGs目標達成が最低評価なのは、日本の根深いジェンダー差別と環境対策の遅れを反映して、7年連続で目標5「ジェンダー平等」、目標13「気候変動対策」、目標14「海の環境保全」、目標15「陸の環境保全」の4つ。


これらの2つの記事がともに、SDGs実現には平和が前提であることを強調しているが、平和はこの報告書の第1部にあるSDGsの達成を加速させるための8つの教訓の1番目として強調されている点でもある。


2.日本の評価が低い飢餓問題の背景

上に述べたように、この報告書は日本のSDGsの17目標の内4つが最低評価と指摘しているが、これらに続く「重要な課題」と低い評価を受けただけでなく、今後も後退傾向にあるとされているのが、下の図にある目標2「飢餓をゼロに」だ。



この理由は日本で飢餓が増えているということではなく、日本での食肉類の消費の割合が多く、その食肉の生産に必要な穀物の消費が多いので、世界での食糧不足、つまり日経の記事が指摘する飢餓の増加に加担することにつながるということだ。この食糧消費の問題は2024年のこの報告書から継続的に指摘されており、昨2025年報告ではこの目標2が先の4つの目標と同じく最低ランクとされていたが、今年の報告書では評価は1ランク改善。しかしこの食糧消費に関する日本のデータが更新されていないせいか、傾向は悪化のままになっている。


なおこの自国の食糧消費の内容が世界の飢餓に及ぼす影響は、国連が定めた公式のSDGs目標2の指標には含まれていない、SDSN報告書独自の指標である。国連の飢餓に関する指標は4つあるが、それらは「食料不安の蔓延度」を除くとどれも栄養状態に関するものである。一国の状況が世界に及ぼす負荷を指標にしているという意味で、SDSNとその報告書の視野の広さを示していると言える。


3. 最下位国がSDGsからより取り残されていて、SDGs目標10に逆行

SDGsジャパンが最も重視しているのは「誰も取り残さない」という理念である。それゆえ今回の報告書においては、通常注目されない進捗最下位国のデータを、過去のそれらと比較して詳しく分析したところ、重大な問題が明らかになった。


下の表は、今年と過去2年分の報告書に示された各国のSDGs進捗の点数を示したものだ。そうすると169カ国(地域を含む)の最下位10カ国の進捗はマイナスであり、それがプラスの最上位10カ国との間の格差が大きく広がっているのだ。


表の最上位10カ国(黄色)と日本の2026年の点数は、前年及び前々年と比較してどこもプラスで順調に増加している。この10カ国の1年間の進捗平均は1年間で0.67点、2年間で1.08点である。対照的に最下位10カ国(青色)の内比較できる9カ国中5カ国が赤の数字、つまりマイナスとなっており、この9カ国の進捗平均は1年間で-0.57、2年間で-0.16である。つまりSDGsの進捗において、最上位国と最下位国の格差が拡大しつつあること、特に最下位国では昨2025年からの1年間の後退が大きいことが明瞭に示唆されている。この報告書はSDGsの目標10「不平等を是正する」は世界全体では停滞しているとしているが、最下位の国々は取り残されており、不公平は悪化して見える!


これら最下位10カ国の国名を見ると、全部が中東とサハラ以南アフリカに位置し、これら国の大半が今も紛争に苦しんでいることに気が付く。冒頭に挙げた2つの新聞記事が、「SDGs実現には平和が前提」と指摘した通りになっている。


戦後に築かれてきた国際秩序が、一部の大国によって無視・破壊され、開発協力のための資金も大幅削減される一方で、軍事費は大きく増えている。私たちは世界各地の市民と一緒に、「こんな非道は許されない」こと、そして「あらゆる国や地域、そしてあらゆる人々を取り残さず、2030年までにSDGsを必ず達成する」ことを、一層強く訴えていく必要がある。                            






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