【ボランティア・レポート】オックスファム・インターナショナルのコロナに関する報告書

SDGsジャパンボランティアによる2021年1月に発表された国際NGOオックスファムの報告書の紹介です。


2021年1月、不正義と貧困から脱却した未来を創造するための活動を行う国際NGOオックスファム・インターナショナル (Oxfam International)が、新型コロナウイルス感染症によって拡大した不平等とそれを是正するために必要な対策についての報告書を発表しました。


この報告書では、パンデミックを通じて世界の国々で様々な種類の不平等が露見したことが記されています。例えば、最富裕層はパンデミック前の水準の資産を取り戻すまでに9ヵ月かかった一方、最貧困層はその14倍の10年以上かかると予測されていることや、多くの国で人種の違いによってコロナ感染者の死亡率に差が出ていることが指摘されています。


コロナの感染拡大により、あらゆるタイプの不平等によって経済的な苦境に陥る人が増えていますが、各国政府が不平等をなくすための行動を、いま起こせば、貧困がパンデミック以前の水準に戻るまでの時間は3年ほどであるという、世界銀行の試算もあります。


報告書内で、オックスファム・インターナショナルはコロナ以前の世界を取り戻すのはもちろんのこと、より良い世界を作るために必要な施策を提言しています。


提言のひとつは、持続不可能な緊縮財政をやめ人々の富を確保することです。緊縮財政をやめて、無償のヘルスケア・サービスや教育、その他の公共サービスへの投資を増やすことで自由で公正な社会の基礎を作ることができると報告書は指摘しています。


もうひとつは、安定した仕事の保証を通じた、より平等な社会の実現です。そのために労働者の権利、育児休暇、仕事を失った際の支援などが充実している環境を整備しなくてはなりません。加えて、今まで主に女性が担ってきた低賃金の非正規労働や無償ケア労働について、社会の構造を変える必要があると指摘されています。


新型コロナウイルス感染症への対応としては、ワクチンを世界の全ての人に届けるため、関係する特許や技術を開かれたものにする必要があることが提言されています。


また、最富裕層への税金の増額、租税回避の阻止に取り組むことも不平等をなくすことにつながります。報告書内では、アルゼンチンがコロナ対策のための資金を一時的連帯富裕税を採用することによって確保した例を挙げ、富裕層への課税の有効性を強調しています。


さらに、不平等の根絶のための取り組みは気候変動対策と通じるものがあるとして、気候変動対策の強化も訴えています。これ以上の環境破壊を防ぎ、未来の世代に持続可能な社会を受け継ぐためのグリーン経済が重要であるとしています。化石燃料に関する補助金の廃止などが具体的な対策案です。


この報告書には、新型コロナウイルス感染症が生み出した様々な不平等をなくしていくための具体的な対策が提案されています。中でも、従来のジェンダーに関する考え方の変革や気候変動に関しての取り組みなどについて、政府主導の対策と併せて、私たち市民の協力が不可欠だと感じました。


例えば、どれだけ政府が気候変動を対策のための政策を打ち出し、節電や生活の中で脱炭素を意識するように呼びかけても、私たちが積極的に取り組んでいかなければ、気候変動に対する取り組みは成功しないからです。ジェンダーに対する意識に関して言えば、世代間格差もあると感じています。また、新型コロナウイルス感染症が世界の不平等を露見させたことで、不平等の存在と、その是正の重要性がパンデミック以前よりも強く認識されているのではないでしょうか。


今だからこそ、あらゆる不平等に対して統括的に対処する方法を考えることができるのかもしれません。


執筆:SDGs市民社会ジャパン ボランティア 柳川 幸音


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