【SDGs Runners】環境市民
SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団体である認定NPO法人環境市民の下村委津子さんより、同団体のSDGsの達成に向けた取り組みについてご紹介いただきました。
環境市民は、1992年ブラジルのリオデジャネイロで地球サミット(国連環境開発会議)が開かれた年に京都で誕生しました。
団体名である「環境市民」には、「こういうNGOでありたい」という想いがこめられています。それは、特に環境問題に対して、社会的に自立した行動と責任を取り、他者への依存的な要求や非難の行動よりも、率先して実践と提案を行う、いわゆる「市民」が集う場でありたいという想いです。その名の通り、設立以来、「環境のために何かしたい」という人が自然と集う場となっています。
■「持続可能で豊かな社会・生活を実現する」
これが環境市民の描くビジョンです。
「持続可能で豊かな社会・生活」とは、すべての生きもの・人々が、いつまでもいきいきと暮らせる社会・生活。
具体的には、私たちはこんな世界をイメージしています。
海は青く澄み、川には魚が泳ぎまわり、
山にもまちにも緑があふれ、夜空には星が美しくまたたき、
生きものたちは絶滅の危機にさらされることなく生を尊ばれ、
人々は他者と競い合うことなく共に助け合い、
金儲けだけの仕事に追われることなく、
子どもたちは未来に目を輝かせ、
齢を重ねた老人たちはその知恵と経験を敬われ、
誰もが社会の主人公として輝き、
宗教や肌の色の違いで殺し合うこともなく、
異なる文化を認め合い、飢えも戦争も差別もない……世界。
残念ながら、現代はこれとはほど遠い社会・生活です。しかし、私たち市民の手で、いつかこんな世界を実現したいと考えています。
「地域」から社会を変える
環境市民の活動の大きな特徴は「地域」を変えていくことにあります。持続可能な社会・地域をつくっていくためには、「経済・政治等の社会システムの変革」と「人々のライフスタイルの変革」が必須です。
私たちは、地球環境問題を引き起こす、人々の生活と経済活動の基盤となっている「地域」を変えることが問題の解決につながる、と考えています。
環境問題に総合的に取り組む
環境市民の活動は、狭い範囲、単一の問題だけではなく、複数の環境問題や経済、社会的公正などの側面も含めて総合的に取り組んでいます。これは、環境問題そのものが一つの問題を解決しただけでは解決しきれないためです。
豊かなライフスタイルを創造するグリーンコンシューマーとSDGs
社会経済システムの転換と、私たちの価値観・社会のパラダイムを反映したライフスタイルの転換は、持続可能な社会をつくる両輪です。
そのために、環境を大切にし、シンプルでほんとうの豊かさを得られる暮らし方を提案します。具体的には、私たちが毎日のようにする買い物を、より環境性能が高いもの、環境負荷の少ないものを積極的に選ぶグリーンコンシューマー活動をステップアップさせ、全国の仲間に呼びかけ「消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク」を発足させました。ネットワークでは、市民目線の企業のCSR調査「企業のエシカル通信簿」や、エシカルな商品情報や販売情報をネットワークとサイトの利用者がツーウェイで充実させていく情報サイト「ぐりちょ」の運営を行なっています。
このネットワークの活動を通じ、企業へ働きかけるとともに、グリーン&エシカルな消費者を増やし、SDGsの目標12である持続可能な生産と消費を実現していきます。
環境市民が大切にする理念
環境市民が創設以来、活動を組み立てる、行動する上で基礎となる考え方です。
1)真の民主主義社会をめざし、その主人公としての市民であることを自覚する
2)専門性豊かな活動と誰もが参加できる活動を結びつける
3)地域から日本を変えていく
4)パートナーシップで相乗効果を発揮し、社会的な影響力を創出する
5)人、団体、社会、そして地球環境の多様性を大切にする
環境市民の活動には、誰もが参加できます。
また、違いを活かし、相乗効果で効率的に社会を変えていくため、行政、企業とも積極的にパートナーシップ活動を行っています。
研究調査、実践活動で培った経験、知識をもとに、行政や企業などに対し、提言なども行うとともに、課題解決・提案型の活動であることを大切にし、どうすれば解決できるかも合わせて提案しています。
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