[SDGs Runners] シェア = 国際保健協力市民の会

SDGsジャパン会員団体のSDGs達成への取り組みを紹介するSDGsRunners。正会員団体である特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会の西山美希さんより同団体のSDGsの達成に向けた取り組みについてご紹介いただきました。

 

すべての人に健康を!

SDGs目標3に向けたシェアの取り組み



シェアが目指すこと


シェア=国際保健協力市民の会は、1983年に日本で草の根の立場から行動を起こした医師・看護師・学生等により設立された、保健を専門としたNGOです。「Health for All!」すべての人々が心身共に健康に暮らせる社会の実現を目指しています。シェアでは、プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)*1を尊重し、長期的な視点に基づいた保健活動を行っています。主役は住民、持続可能な支援を目指し、現地の人々と協力しながら、“いのちを守る人を育てる”保健医療支援活動を、カンボジア、東ティモール、日本で進めています。


SDGsの17の目標のうち、人々の健康というのは、それぞれの目標に関係していますが、シェアでは特に「目標3:すべての人に健康と福祉を」の目標達成に向けて、各国で取り組んでいます。その中でも、現在は母子の健康、感染症、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)などに焦点を当てて活動しています。今回は私が担当している東ティモールの取り組みをご紹介します。


東ティモールの僻地で住民が保健医療サービスにアクセスできない背景


東ティモール民主共和国は2002年に独立を果たした新しい国です。独立以来、東ティモール政府は保健システムの整備・強化を進めていますが、施設や人材が不足した状態が続いています。首都ディリ県にあるアタウロ島はシェアの活動地の一つで、住民が日々の生活で必要とする妊婦健診、病院での出産、子どもの予防接種といったサービスのカバー率が東ティモール全国の平均値より低い地域です。ここでシェアは、2019年より住民の保健医療サービス利用を改善する活動を行っています。


この島は交通の便が悪く、妊婦や子どもを連れた母親たちは診療所を訪れるために山道や海岸を通って長い時間徒歩で移動しなければなりません。診療所を訪れても、医師や助産師の不在だったり、医療スタッフの態度に対して住民から不満が報告されていました。一方で住民側の保健知識も不足し、予防接種をはじめ保健サービス利用の重要性を理解していない住民もいます。こうした状況が住民の保健サービス利用を妨げており、このような課題に対処するために、主に3つの取り組みを行っています。


シェアSDGs目標3への取り組み


【船の供与:継続して使われるための仕組み作り】

シェアは医薬品や保健医療従事者を運ぶことを目的とした船を供与し、物理的なアクセスの改善を行ってきました。さらに船を持続的に使用していくために、まず地元の船頭を雇用し、維持管理の研修やマニュアルを作成しました。そして船頭を保健省所属の職員として再雇用してもらうことで、この船を政府に引き渡した後でも船を継続して管理できる仕組みを作りました。この船は「保健の船」と島民からも慕われており、この船で診療所のないエリアへ医療者を送迎したり、新型コロナのワクチンや検体を運んだりと活躍しています。



【日々の業務改善のために~保健医療従事者の技術向上】

保健医療従事者へは技術研修を提供し、予防接種や患者対応の知識・技術の向上に取り組んできました。医療者のなかには、自信をもって乳児への予防接種が出来ない人がいたり、予防接種記録やワクチン保管状況が適切ではないケースもありました。研修後も、県保健局担当者と共に保健センターや診療所などで指導、モニタリング活動も行い、技術の定着化を図っています。



【保健ボランティアによる保健教育活動の実践】

地域住民向けには、保健ボランティアから住民への保健情報の提供の機会を増やす取り組みをしています。予防接種や栄養などについて研修で学んだ保健ボランティアたちが、自主的に住民への保健教育を行う姿が、見られるようになりました。また診療所や教会などと協力したり、妊婦に同行して保健センターを訪れたりするなど、保健ボランティアの役割の広がりが見られました。



最後に、このような東ティモールの事例から、人々が保健サービスにアクセスできない要因は、複合的に絡み合っていることがわかります。設備などのハード面を整えること、医療者側の技術や意識を変えていくこと、そして住民が正しい保健の知識を持ち、保健サービスを受ける必要性を認識することが、保健サービスへのアクセス改善には不可欠となります。せっかく順調に進んでいた活動ですが、東ティモールでも新型コロナウイルスの影響を受け、保健行政は新型コロナへ対応で多忙となり、子どもの予防接種を含む通常の保健医療サービスの提供に支障が出ました。住民も新型コロナを恐れ医療機関の受診を控えるなど、保健医療サービスの利用が減ってしまいました。保健医療の体制が弱い国ほど、大きな影響を受けてしまいます。シェアはコロナ禍で影響を受けた保健医療サービス利用の課題に取り組み、さらに住民の健康増進をはかっていきます。

 

*1 プライマリ・ヘルス・ケアとは: https://share.or.jp/health/knowledge/primary_health_care/

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