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[SDGs Blog]SDGs全体の達成に向け、「意味あるユース参画」を

SDGsジャパン理事である、持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)政策提言部 統括の森井悠里香のエッセイを公開しました。

※本エッセイは8月17日に発行されたメールマガジン「未来コトハジメNEWS」の巻頭コラム「ミラコト・サロン」に寄稿された原稿を加筆修正したものです。

 

SDGsを含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の進捗については、一部プラスの動きがある一方で、コロナによるパンデミック以降、世界全体で以前にも増して停滞、または後退しています。「持続可能な開発ソリューションネットワーク」がまとめた年次報告書 「持続可能な開発報告書 2023」によると、日本の評価は前年から順位を2つ落とした21位となり、2017年以降下がり続け初の20位代となってしまいました。個別分野では、特にジェンダーと環境分野での進捗が不十分であるとされています。


SDGs達成期限目標(2030年)の折り返し地点である2023年の今、SDGs達成、また2030年以降の持続可能な社会構築のためには、プロセスを見つめ直し、分野・セクター・世代、また国境を超えた協力体制の強化を行い、前例にとらわれない革新的な取り組みを行うことが急務であると考えます。


持続可能な社会の実現には、将来世代であるユースの参画が不可欠であり、保証されるべき権利です。持続可能な開発とは「将来世代のニーズを損なうことなく、現在世代のニーズを満たす開発」 (環境と開発に関する世界委員会 1987 Our Common Futureより)と定義されています。1992年の地球サミットで採択されたSDGsの前身とも言えるアジェンダ21でも、「子ども・ユース」は積極的に参画すべきセクターと明記されています。


一方で、国内外ともにSDGsプロセスにおいてのユースの参画、分野横断・セクター横断的協力体制の構築は限定的です。真に意味ある参画とは、各会議やプロセスの一部分に”ユースの席”を設けることのみでは達成されません。会議内容に関する情報のアクセス保証も意味あるユース参画実現において重要な構成要素の一つです。会議の場で建設的な議論を行うためには、事前に分析・議論を行う時間を担保、またできるだけ専門知識を必要としない形での情報開示が重要ですが、ほとんどのプロセスでいまだ十分な情報のアクセス保障がなされていないと感じています。


また、会議直前のみではなく日ごろから対等な形で意見交換を行ったり、継続的な活動や国内外への参画を資金面から援助していくことも必要です。その他にも、学業や生活に配慮したスケジュール調整や参画におけるリスク(ハラスメントや誹謗中傷など)からユースを守る仕組みづくりなど、真に意味ある参画達成に向けて改善点はいまだ多く残されています。


地球規模課題はユースを含む全ての人に関わる問題であり、SDGsの基本理念として”誰一人取り残さない”と掲げられているように、一部の”意識が高いエリートの人”のみではなく一人ひとりが関わっていけるような包括的な取り組みが重要であるはずです。意味ある参画に向けた改善点は、ユース参画のみではなく、プロセス全体の包括性の向上においても重要であると考えます。


また、ユース参画は保証されるべき権利であると同時に、SDGsや地球規模課題解決に向け多くの可能性を秘めていると思います。例えば、政治や利害関係にとらわれにくいユースだからこそ、分野・セクター・世代、また国境を超えた協力体制の強化において果たせる役割も大きいのではないでしょうか。現状を踏まえると国際会議など公式な政治の場ではなかなか日本としては連携の取りにくい国ともユース間であれば比較的に柔軟にまた自由に交流・対話を重ねることができます。


「持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)」は、主に「北東アジアSDGsマルチステークホルダーフォーラム」に際して、ロシアや中国のユースとも議論や連携の促進を行ってきました。他セクターではなかなか実行できないこういったユース間の地道なやりとりが、最終的な連携強化・相互理解向上にも繋がってくると思います。加えて、教育・ジェンダー分野など世代間で認識や実状に差がある分野において現役の学生やユース世代からの意見は課題解決に向け不可欠ですし、地球規模課題の取り組みにおいて不可欠な長期的視点もユース参画を通して補完できるのではないかと考えます。

「持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)」では、普及啓発活動を通したユース(JYPSでは30歳以下と定義)のSDGsをはじめとする地球規模課題への関心の向上や、 国内外の意思決定の場での意味あるユース参画の実現に向けて、政策提言活動を行っています。


国内プロセスにおいては、2023年12月のSDGs実施指針改定に向け、SDGs市民社会ネットワークの支援のもと、SDGsに関する議論、意見集約のため、ユースを対象に意見交換会を開催しました。さらに、ユースの視点から提言提出を行ったことに加え、JYPSの事務局員がSDGs推進円卓会議構成員の一人として、 「SDGs実施指針に関するパートナーシップ会議」の運営や「平和と公正」分野の提言の取りまとめを行いました。


そのほか、国内外のユースと連携して、「北東アジアSDGsマルチステークホルダーフォーラム」や「第3回パリ協定とSDGsのシナジー強化に関する国際会議」をはじめとする国際会議での政策提言や登壇を通し、ユースとしての要望やユース参画の重要性、また分野・セクター横断的な協力体制の強化の重要性について訴えています。現在は、4年に一度の首脳級会合として2023年9月に開催されるSDG Summitに向け、ユースの真に意味ある参画を通したSDGs達成を念頭に、SDGs学習ウェビナーや国内外のユースとのディスカッションイベントの企画、さらには提言発表の準備を進めています。 SDGsプロセス全体の包括性の向上とさらなるユース参画の実現、またSDGs達成に向け、引き続き活動をしてまいります。



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